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胃がん 腹水の真相

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胃がん 腹水がちょっと気になっています。

Q:67歳の母のことで相談です。胃がんの術後なのですが、抗がん剤を変更するべきかどうか悩んでいます。1年半前に「胃がん stage IIIb 一部に印環細胞を含む」で胃全摘とリンパ節廓清 を行いました。術中所見では肉眼では腹膜への浸潤はなかったそうです。その後TS-1を内服して1年半経過、腫瘍マーカーは、CA19-9が術後17程度に正常化、CEAは12程度でやや高値なのですがこの一年とくに増加してきているということもありません。ところが先日撮影した腹部CTで腹水が出現してきており、主治医の先生から「TS-1をこのまま続けるよりはタキソール点滴に変更して明らかな腹膜播種が認められない間に腹水を消しておくほうがよい」と言われました。 一方、胃全摘後はできることはなんでもしておこうということで免疫療法(切除標本を使って体外で樹状細胞を培養して点滴で体内に戻すというものです)も受けていていて、そちらの先生は、「タキソールを全身投与してしまうと免疫が落ちて体内のよい細胞もやられるうえに副作用でQOLがほぼ間違いなく低下するから、TS-1で生活が落ち着いているのならばこのままTS-1を続けるほうがよい、自分が娘ならタキソールの点滴は受けさせない、本当に腹膜播種が問題ならCTで腹膜播種がはっきりして腹水ももっと増えてから腹膜切除やタキソールの腹腔内投与を受けるほうがよいと思う」と言われてしまいました。 あらためて主治医の先生にもその旨伝えると、「消化器系のがんでは昔とちがって著しくQOLを下げるとわかってるような治療をすすめることはない」、「タキソールによる脱毛は避けられないけれど、そんなにQOLが下がることはないと思うから、こちらのいうことも信用してほしい、もともとリンパ節転移があったのだからわるくなってから腹腔内投与するのではなくいま全身投与するほうがよいと思う」と言われたそうです。どちらが信用できないということもないのですが、ここまで意見が別れると素人には本当にどうすればよいのかわからず途方に暮れています。・タキソールの点滴がTS-1と比べてどれくらいQOLを下げるのでしょうか。・タキソールを一度はじめてしまうともとには戻せないのか、それとももしタキソールがつらければTS-1に戻すということも可能なのでしょうか。・タキソールを一度点滴すると免疫療法の効果は消失するというのは本当でしょうか。長文で申しわけありません。藁にすがる思いで相談しています・・・なんでもよいので教えてください・・・。
A:腫瘍内科医です。恐らく問題になるのは「腹水が出ている事を再発(腹膜播種)と捉えるか否か」だと思います。腹腔穿刺、腹水細胞診を行って腹水中にがん細胞が証明されたという事なら診断確定ですから、TS-1から変更する合理性は一応ある事になります。ただ、腹水細胞診は行っておらず、腫瘍マーカーが腹水出現のタイミングに合わせて上昇している事がないのならここで腹膜播種と診断してしまうのは早計だと思います。タキソール(PTX)開始の問題点は、連用により神経障害が出現する事です。ひどくなると歩行が不可能になります。最近神経毒性の少ないアルブミン結合型製剤(アブラキサン)が認可されましたが、再発が確定していない状況で最初からPTXを使うことは妥当でないと思います。腹腔内投与は腹膜播種例に行われるときがありますが、静脈内投与と比べて有効性が証明されているわけではありません。臨床試験でのみ実施が許容されるというレベルです。また、再発・転移胃癌のfirst-line化学療法の標準治療はT-1+Cisplatin(CDDP)です。これは第3相試験(SPRITS試験)でTS-1単剤より効果が高い事が証明されていますが、PTXは第2相どまりでTS-1+CDDPより優れているとはいえません。今回の場合、既にTS-1を投与されているので、内服していなかった場合にTS-1+CDDPを始めた場合よりも効果は低いかもしれず、場合によっては効果がないこともありえますが、「無効である」と証明されているわけではなく、「有効とするevidenceがない」というレベルで、PTXをfirst lineで使う根拠と大して変わりません。私ならTS-1+CDDPから始める事をまず勧めると思います。CEAが高い事が分かっていますのでCDDPを加えるだけなら腹水細胞診が行われていなくてもOKと思います。外科治療(腹膜切除)は標準治療ではなく、それによる効果が証明されているわけではありません。ただ、切除しきれた症例で長期生存が出ているという報告(学会発表レベル)があり、腹膜播種が疑われている現時点で適応を考えるべきです。画像で明らかなくらいになっては切除しきれない可能性が高くなるからです。ただ、これを行える施設は限られています。むやみに「やってくれ」と言っても断られます。きちんと施設を選んで受診してください。実施かどうかはWebで調べたり電話で問い合わせたりが可能です。調べがついたら追記します。免疫療法は悪性黒色腫など一部の例外を除き効果が証明されたものはありません。行うとしたら効果が示されている全ての治療を行ったが効果がなかった症例を対象に、臨床試験として行うことのみが倫理的に許容されます。臨床試験として行う場合、同時進行で化学療法を行っていると免疫療法単独の効果が判定できなくなります。そのため、有効である治療は全てやりつくして同時に行う事はない、という方を対象にするわけです。また、有効性が証明されていなくても同時進行で放射線治療や化学療法を行っていると、免疫反応は抑制されますので免疫治療の効果は期待しにくくなります。1発で効果がふっとぶかどうかは分かりませんが。大学で行われているような臨床試験ならこのへんをきちんと説明してくれると思いますが、これまで説明が無かったという事なら真っ当な医療機関が行う事ではありません。残念ながらムダにお金をつぎ込んだ印象がぬぐえません。結論として・現時点でPTXを行うのは適当でない・化学療法を行うならTS-1+CDDP regimenを試すべき (腎障害などでできない場合を除く)・手術治療の検討は現時点で行うべき。但し、施設は 選ぶ必要がある・免疫療法は現時点では行うべきでないという事になります。
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